台湾原住民族とは

 台湾島とその周辺島嶼に古くから住んでいた台湾の先住民族は、17世紀ごろからスペイン、オランダ、清朝と外来勢力に翻弄される歴史を歩み、19世紀末からは日本、20世紀半ばから中華民国の統治を受けてきました。当時日本人は原住民族を「高砂族」と呼び、日本語教育や日本名を名乗らせるなどの同化政策を採りました。中華民国(国民党)政府も原住民族の漢民族への同化政策を採りました。

 しかし、1980年代から、台湾の民主化と呼応して民族としての権利獲得運動が徐々に成果を収めるようになり、各民族の総称も法律上、1994年には「原住民」、1997年には「原住民族」と改められました。

各民族のプロフィール

 台湾には現在、政府から公式に認定された16の原住民族がいます。タイヤル、タロコ、セデック、サイシャット、ブヌン、アミ、サキザヤ、サオ、ツォウ、プユマ、クヴァラン、パイワン、ルカイ、ヤミに加えて、サアロアとカナカナブが2014年6月に認定されたほか、現在申請している数集団があります。ほかに、漢民族との同化が進んでいる「平埔族」が10民族前後存在します。今後は、「あの人々と私たちは違うようだ」という人々の自意識やアイデンティティを根拠として民族として認めてもらおうとの運動が強まってくると見られています。タイヤルとタロコ、セデックのように、衣装や習慣、言語などの文化の差異は、見えにくいところもあります。また、異民族間の結婚が増えて、「私はタイヤルの父とパイワンの母の子どもです」という人々もでてきており、こうした人々は父、母どちらかの民族に帰属していくのか、「タイ・パイ族」と名乗る人もいて、ますます混とんとしてきています。

 民族が増えるにつれて、博物館の展示やその他情報を更新していくのも大変そうです。ある博物館の学芸員さん(サキザヤ出身の30代)によると「今後、百ぐらい民族が増えても大丈夫なように、館内の民族案内の施設はコンピュータを利用したものにしたい」と話していました。

 原住民族の生活は時代にあわせてさまざまに変化しています。日本統治時代に紹介されてきた姿とは大きく異なってきています。若い世代を中心にかなりの人数が都市に居住していることも、台湾原住民族関係の資料を読むときに意識してほしいことです(人口データは2007年6月現在、民族プロフィールは原住民族委員会のHPも参照した)。


  • 記述内容は当会の統一見解ではなく、執筆者個々に帰します。なお、各グループ名に「民族」とつけるか「族」とつけるかなど、呼称についても、会内で見解が分かれました。ここでの呼称は各執筆者の見解に従っており、あえて統一していないことをお断りしておきます。
  • 記述内容は追々書き足していく予定です。
 

台湾原住民族別登記人口数統計表(2012年8月)

 ※台湾の総人口は、2287万6527人 (2006年12月末)

 阿美族 (アミ) 193,599人
 泰雅族 (タイヤル) 83,329人
 排灣族 (パイワン) 93,044人
 布農族 (ブヌン) 54,117人
 魯凱族 (ルカイ) 12,426人
 卑南族 (プユマ) 12,780人
 鄒族 (ツォウ) 1.33%
 賽夏族 (サイシャット) 1.18%
 雅美族(達悟族) 0.82%
(ヤミ または タオ)
 邵族 (サオ) 0.14%
( 2001年8月、10番目の原住民族に認定 )
 噶瑪蘭族 (カヴァラン) 0.25%
( 2002年12月、11番目の原住民族に認定 )
 太魯閣族 (タロコ) 28,199人
( 2004年1月、12番目の原住民族に認定、花蓮県を中心に居住、タイヤルと言語・文化を異にする )
撤奇莱雅族 (サキザヤ) 約1,000
(2007年1月17日に13番目の原住民族に認定、花蓮県中心、以前はアミ族の支族とされていた)
賽德克族(セデック) 8,073人
(2008年4月、14番目の原住民族に認定)
拉阿魯哇族(サアロア) 400~500人
(2014年6月、15、16番目の原住民族に認定)
卡那卡那富族(カナカナブ) 500人余り
(2014年6月、15、16番目の原住民族に認定)
其他 ?人
未登記(尚未申報) 19,166人
合計 ?人

 

 2008年 セデックが第14の台湾原住民族に認定 【参考資料】
101年8月台閩縣市原住民族人口-按性別族別

2008年4月23日 台湾週報

阿美族 (アミ)、 泰雅族 (タイヤル)、 排灣族 (パイワン)、
布農族 (ブヌン)、 魯凱族 (ルカイ)、 卑南族 (プユマ)、
鄒族 (ツォウ)、 賽夏族 (サイシャット)、
雅美族(達悟族)(ヤミ または タオ)、
邵族 (サオ)( 2001年8月、10番目の原住民族に認定 )、
噶瑪蘭族 (カヴァラン)( 2002年12月、11番目の原住民族に認定 )、
太魯閣族 (タロコ)( 2004年1月、12番目の原住民族に認定 )、
撤奇莱雅族 (サキザヤ)( 2007年1月、13番目の原住民族に認定 )

2009年 シラヤが台湾原住民族に認定を陳情

2009年6月25日 自由電子報

自由県平埔族シラヤ文化協会が監察委員が台南を訪れて陳情を受け付ける機会を捉えて、シラヤの正名を陳情。

2014年 カナカナブとサアロアが第15.16番目の台湾原住民族に認定

サアロア、カナカナブの正名