タイヤル(泰雅族)

 タイヤル(泰雅族)は、台湾原住民のなかでも2番目に多い8万人余りの人口の民族集団。居住地域は、埔里から花蓮以北の台湾の北部から中部にかけての山脈地域である。ブヌンとともに、日本時代はもっとも頑強に植民地当局に抵抗した民族として知られていた。男女ともにイレズミを顔面にほどこす習慣があったが、日本統治時代に禁止されて70年以上前におこなわれなくなっている。祖霊の規範gagaを守り、狩猟や焼き畑農耕、織物づくりなどを生業とした伝統的な生活から、現在は農業中心の生活をおくっている。年間を通して、祖霊祭や豊年祭、種まき祭などをおこなう。元来女性たちは織物づくりを盛んにしてきた。現在も、少数の女性たちが手工芸として織物を手がけている。そのなかで、従来はなかったデザイン性を高めたバック類などを打ち出し始めている。

文責:山本芳美