目次
序 日本の読者の皆さんに ワリス・ノカン

作品舞台地図/凡例

第一部──記憶柔和

  弔い
  最初の狩猟
  長い年月のあとのある夕暮れ
  タロコ風雲録
  悲しい一日
  独裁者の涙
  野ゆりの秘密
  女王の蔑視
  失われたジグソーパズル
  死神がいつも影のごとく寄りそう

第二部──都市残酷

  奥の手
  中秋の前
  夜の行動
  タクシー
  小さなバス停の冬
  この、もの悲しい雨
  希洛の一日
  銅像が引きおこした災い
  私の小説「先生の休日」
  ムハイス
  コウモリと厚唇の愉快な時間

第三部──山野漂泊

  虹を見たか
  タイワンマス
  人と離れてひとり暮らす叛逆者、ビハオ・グラス
  父

  初出一覧

 訳者あとがき 下村作次郎

著者プロフィール

ワリス・ノカン(瓦歴斯・諾幹、Walis Nokan)
 1961年、台湾台中県和平郷ミフ部落(現、自由村雙崎社区)生まれ。タイヤル族で、パイ・ペイノフ群に属する。最初、柳翱のペンネームで散文集『永遠の部落』を出す。1990年代になって、雑誌『猟人文化』の発行や「台湾原住民人文研究センター」の活動に従事する。
 著作は詩集、散文集、小説集、評論集などさまざまなジャンルにおよび、 文学賞の受賞も多数ある。

下村作次郎(しもむら さくじろう)
 1949年、和歌山県新宮市生まれ。天理大学名誉教授。2020年2月から7月まで、国立清華大学台湾文学研究所客員教授。著書に『文学で読む台湾』、『台湾文学の発掘と探究』、監訳『悲情の山地』(以上、田畑書店)。翻訳・編集『台湾原住民文学選』全九巻(2012年、第一等原住民族専業奨受賞)、孫大川著『台湾エスニックマイノリティ文学論』、シャマン・ラポガン著『空の目』、『大海に生きる夢』(2018年、第5回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞)(以上、草風館)、陳芳明著・共訳『台湾新文学史』上・下、陳耀昌著『フォルモサに咲く花』(以上、東方書店)など。2021年11月、台湾文学貢献奨受賞。