サイシャット(賽夏族)

 サイシャット(賽夏族)は人口5400人、総人口中の約1.3%で台湾原住民族でも少数の民族。台湾の北西部の山地、新竹県と苗栗県の境界にまたがって居住している。タイヤルや客家と隣接して北サイシャット(新竹県の霧峰郷)と南サイシャット(苗栗県の南庄郷と獅潭郷)に方言が大きくわかれる。祖霊祭のほかにパスタアイ(矮靈祭)で知られている。パスタアイは北と南にわかれて2年に1回、6日間にわたってほぼ同じ過程でおこなわれる。10年に1回は大祭が催されるパスタアイは、サイシャットに米の耕作や歌と踊りを教えたタアイと呼ばれる小人たちとの交流の伝説にもとづいている。

 服装は赤色と白色を基調としていて、全面を貝のビーズで装飾した上着や、目の文様などを精緻に織り込んだ織物など手工芸の評価が高い。長らくタイヤルと接触してきたためか、額と顎にイレズミをいれる習慣があった。

文責:山本芳美