サオ(邵族)

 サオ(邵族)は南投県の魚池郷と水里郷にかけて居住する民族で、日月潭湖畔に大半の人々が住む日月村がある。1999年の台湾中部大地震後の2001年に独立した民族として政府から認定を受けた。当時の人口は約200名から300名といわれていた。現在の総人口約600名は、父方または母方の血筋をたどってサオとして身分証を書き換えた人々が従来の人口の倍数以上いたことを示す。それでも、台湾の原住民族の中で最も少ない民族であることは変わりない。

 日本時代の絵はがきでは、人々が湖畔で杵で木臼をついておこす音と歌う姿が叙情的に紹介されていた。伝承によれば、サオの先祖が白鹿を追って阿里山を越えていったが、鹿を見失った地点で大きな湖を見つけて移住したという。そのため、以前はツォウの支族と見なされていた。年間を通しての主たる祭りは、種まき祭、狩猟祭、豊年祭で、そのほか除草祭と収穫祭がおこなわれている。日月潭にある浮島のラル島(拉魯島、北京語では光華島)にあるアカギの木に最高の祖霊が宿るとされ、重要な祭祀を祖地のPuziでおこなう権利を求めていた。地震後にさらに進行した観光化のなかで、いかに伝統文化を保持するかが、人々の課題となっている。

文責:山本芳美