ヘイホ(平埔族)

 台湾原住民族と同じくオーストロネシア語族で、今から5千年前から2万5千年前に台湾に移住してきた人々。漢民族と婚姻関係を結んだり、混住したりしていたために融合が進み、文化的に変容した民族を平埔族と総称している。現在のところ、日台の研究者のあいだで見解がわかれているがおよそ8民族から10民族とされていて、1990年代はじめには14民族をとなえる研究者も現れた。おおよそ一致しているのは、バブザ(貓霧悚族)、ホアンヤ(和安雅族)、ケタガラン(凱達加蘭族)、パポラ(巴布拉族)、パゼッヘ(巴則海族)、シラヤ(西拉雅族)、タオカス(道卡斯族)。これに、クヴァランの支族として分類されているライラン(雷朗族)やバサイ(馬賽族)などを加える人もいれば、サイシャットやサオを平埔族とする見解の研究者もいる。

 独自の祭祀や治療儀礼、服装などを大切に伝えている人々もいるが、平地に漢民族とともに混住していたため、自らが平埔族であることを隠して名乗りたがらない人々も多い。原住民族の民族認定や文化の尊重がすすんだことに刺激を受け、祭祀の復活などを通してアイデンティティを模索したり、民族認定をもとめたりする活動が盛んになってきている。

文責:山本芳美